未経験者が確実にラジオパーソナリティになる方法

ラジオパーソナリティになりたい。そう思って調べ始めると、まず情報が出てこないことに驚きます。

求人サイトにも載っていない。専門学校のパンフレットを見ても、その先の話が書いていない。わたしも最初、まったく同じところでつまずきました。

しかも2026年のいま、この仕事は業界ごと作り替えられている最中です。だから昔の「なり方」記事を読んでも、けっこうズレる。

今日は、いまの状況を踏まえて整理します🎙️

2026年、ラジオという仕事はどうなっているのか

まず前提の話をさせてください。ここを知らないと、ルートの選び方を間違えます。

AM放送は、本当に止まりはじめた

「そのうちAMがなくなるらしい」という噂レベルの話、ありましたよね。あれ、もう噂じゃないです。

国内の民放AMラジオ局47局のうち44局が、2028年秋までにAMを停波してFM放送へ転換する計画を出しています。設備の老朽化とワイドFMの普及が理由です。総務省も「運用休止に係る特例措置」を用意して後押ししていて、実証実験という名前の実質的な停波が2024年2月から順次始まっています。

すでに愛媛県は2026年2月に県内のAM放送を完全休止しました。栃木も2025年12月から休止に入っています。NHKも2026年3月30日にラジオ3波を2波へ再編して、ラジオ第2放送が終了しました。

これ、けっこう大きな出来事だと思うんです。あって当たり前だったものが、静かに消えていく。

でも「ラジオが死んだ」わけではない

ここを誤解しないでほしいのですが、局がなくなるわけではありません。AMという電波の方式をやめて、FMとradikoに移るという話です。

むしろ音は良くなるし、ビルの中でも聞こえやすくなる。局側からすれば、莫大な維持費がかかるAM送信所を手放して身軽になれる。生き残るための引っ越しなんですよね。

そしてコミュニティFMは、いまも新規開局が続いています。災害対策メディアとしての価値がむしろ上がっているから。

つまり「電波は縮小、でも音声コンテンツは拡大」。これが2026年の景色です。

AIが原稿を読む時代に、人がしゃべる意味

もうひとつ、無視できない変化があります。AI音声です。

東海ラジオはバーチャルアナウンサー「東 桜」をニュース番組に起用しているし、広島FMも音楽番組にAI音声のキャラクターを入れている。共同通信の配信ニュースを自動で音声に変換して流す仕組みも、もう実用段階です。

正直に言うと、原稿を正確に読むだけの仕事は、もう人間がやる理由がありません。24時間動くし、疲れないし、噛まない。コストも比較になりません。

じゃあ、人がマイクの前に座る意味って何なんだろう。

わたしはたぶん、「その人が、そこにいること」だと思っています。今日ちょっと声が低いとか、ゲストの話に本気で驚くとか、言葉に詰まるとか。AIが再現できないのは、正確さじゃなくて不正確さの方なんですよね。

これ、この記事の残り全部に効いてくる話なので、覚えておいてください。

いちばん大事なのは、話術じゃない

で、本題です。

必要なのは「聞き上手」の方

パーソナリティというと、立て板に水でしゃべる人を想像しますよね。でも実際に番組を聴いていると、うまい人ほど「引き出している」。自分がしゃべる時間より、相手にしゃべらせている時間の方が長い。

ゲストって、本気で興味を持たれているかどうかが、わりと一瞬でわかるんです。嘘の相づちは伝わる。逆に、本心から「えっ、それどういうこと?」が出せる人は、それだけで場が回る。

だから、話術の前に「人の話が好きかどうか」。ここが向き不向きの分かれ目だと思います。

知らないことは、弱点じゃない

意外なんだけど、博識すぎる人はやりにくかったりします。「そんなの知ってるよ」という表情って、自然に顔に出るから。純粋に驚けないと、リスナーも置いていかれる。

逆に、知らないテーマにぶつかったときに素直に掘り下げられる人は強い。もちろん、自分が知っている話題のときは、自分の好奇心じゃなくリスナーの代わりに聞く姿勢に切り替える必要はあるけれど。

そしてここが、AIに置き換えられない部分

さっきの話とつながります。

台本を読むのはAIの方がうまい。でも、その場で相手の言葉に反応して、予定していなかった質問をするのは、まだ人間の領域です。

だからこれから目指すなら、原稿読みの精度を磨くより、人と話す時間を増やした方がいい。訓練の優先順位が、この5年で明確に変わったと思っています。

ルート①:キー局を目指す場合

ここからは具体的な道筋です。まず大手のラジオ局から。

現実:ほとんどが「本業が別にある人」

ラジオ欄をじっくり見てみてください。パーソナリティ専業の人が担当している番組って、実はそんなに多くない。

ミュージシャン、お笑い、アイドル、アナウンサー、作家、評論家。本業が別にあって、その知名度や専門性でマイクの前に座っている人が大半です。

つまりキー局を目指すなら、道は二つ。「有名になる」か「専門家になる」か。身も蓋もないけれど、これが実態だと思います。

事務所を通すのが、いちばん再現性がある

フリーランスの個人にキー局から直接依頼が来ることは、よほどの実績がないとまずありません。仕事は基本、芸能事務所と局のパイプを通って流れてきます。

キー局を本気で狙うなら、事務所所属は事実上の必須条件だと考えていいと思う。

実際に上がっていった人の順路

キー局まで到達した人の話を聞くと、こんな順番が多いです。

  1. コミュニティFMで番組を持つ
  2. 養成所・スクールに通う
  3. 養成所の所属になる
  4. 養成所と提携している事務所の所属になる
  5. キー局のオファーを受ける

早い人で1年ちょっと。もともと素質があったのかもしれないけれど、階段としてはかなり明確です。

そして注目してほしいのが1段目。ほぼ全員、ここから始まっている。

ルート②:コミュニティFMから入る

というわけで、昔からある王道の入口です。

全国345局。しかもまだ増えている

コミュニティFMは1992年に第1号が開局して以来ずっと増え続けていて、2024年12月時点で全国345局。都道府県別だと北海道29局、神奈川18局、沖縄17局の順です。

大手AM局が縮小していく一方で、地域密着の小さな局は増えている。ここが2026年の面白いねじれだと思います。防災インフラとしての需要があるから、自治体が後押しするんですよね。

キー局に比べれば、パーソナリティになるハードルは圧倒的に低い。とくに新規開局の局は、希望すれば入りやすいことが多いです。

なので基本中の基本は、地元局のサイトとSNSを定点観測すること。募集はいつ出るかわからないし、出たらすぐ埋まります。

ただし「経験者のみ」の壁がある

で、いざ募集を見つけると、たいてい書いてある。応募資格:経験者。

未経験なんだから経験者になれるわけがない、という詰み。ここを突破する方法が二つあります。

方法①:番組枠を買って、自分で経験者になる

ラジオの番組枠を購入して、自分がスポンサーの番組を始めてしまうという手です。

目的は「履歴書に1行増やすこと」なので、月1回のマンスリー番組を1クール(3ヶ月=全3回)でも十分。これで堂々と経験者です。

費用の目安はこのくらい。

  • 番組枠(30分・月1回):3万円前後
  • 収録・編集費:1万円~5万円前後
  • 合計:月4万円~8万円前後 × 3ヶ月 =12万円~24万円程度

局や企画内容、交渉次第で安くなることもあります。

ただ、2026年はここを冷静に考えた方がいい。ポッドキャストなら0円で始められる時代に、最低でも12万円払う意味があるのか、という話です。

わたしの結論は「目的次第」。局の募集に応募したいなら、いまでも有効です。応募資格をクリアできるという一点で、24万円は無駄になりません。逆に「音声で発信したい」だけなら、正直おすすめしません。同じ24万円をマイクと防音に使った方が、たぶん幸せになれます🎧

方法②:局の専属になる(あまりおすすめしない)

もう一つは、局の専属パーソナリティになる道。ただ、正直これはあまりおすすめしません。理由が三つあります。

NGワードが多い。地域密着が使命なので、地域の一店舗をえこひいきできない。「◯◯市で一番おいしいですよ!」は絶対アウト。局によっては「応援してます!」すらNGだったりします。相手をよく調べずに応援表明するのはリスクだ、という理屈です。番組を持つと、この縛りがけっこう苦しい。

上下関係が発生する。パーソナリティをやりたい人って、だいたい自由な人が多いんですよね。組織に入ることで、その自由さが削られることがある。

災害時の出局義務がある場合がある。そもそもコミュニティFMは災害対策メディアとしての役割が大きくて、その重要度はいま上がる一方です。有事にはすぐ局に向かうという契約が付くことがある。そこが力の見せどころでもあるけれど、覚悟がないなら専属は避けた方がいい。

ルート③:ポッドキャストから入る(2026年の新ルート)

ここが、昔の記事にはなかった選択肢です。

「配信より放送が強い」は、もう半分しか正しくない

少し前まで、こう言われていました。YouTubeやポッドキャストの経験は履歴書に書きづらい。放送は放送法という法令の上に成り立っていて、局のお墨付きをもらって公共の電波に声を乗せた経験とは重みが違う、と。

この理屈自体は、いまも生きています。実際、名刺に「ラジオパーソナリティ」と書けるブランド力は強い。士業やコンサル、講師の人が番組を持つと、それだけで信頼の裏付けになります。

でも、差はものすごい勢いで縮まりました

日本のポッドキャスト市場は2026年に入って明確に大衆化のフェーズに移っていて、若年層の月間利用率は4割を超えています。通勤や家事や運動の時間に音声を聴くという習慣が、もう定着した。広告市場も伸びていて、「先行者利益が取れる期間は限られてきた」と言われるところまで来ています。

Googleポッドキャストが2024年に終了してYouTube Musicに統合されたときは後退に見えたけれど、結果的にはSpotify、Apple、Amazon、YouTubeの4強に整理されて、市場としてはむしろ健全になりました。

radikoポッドキャストという合流点

いちばん象徴的なのが、radikoの動きです。

2026年4月から『ナインティナインのオールナイトニッポン』のアーカイブがradikoポッドキャストで配信され始めたし、7月には音楽ドキュメンタリー的なオリジナル番組『radiko Music Stories』も立ち上がりました。J-WAVEやFM802など複数の局が連携して作っている。

つまり放送局側が、ポッドキャストを本気で自分たちの土俵にし始めたということです。

これ、目指す側からすると朗報だと思うんです。境界が溶けているということは、どちらから入っても、向こう側に行ける可能性があるということだから。

動画ポッドキャストという流れも押さえておく

もうひとつ。2025年末から、動画付きポッドキャストの収益化プログラムが本格的に動き出しました。顔を出して撮った収録を、そのまま音声としても動画としても出す形式です。

正直、これは向き不向きが激しいと思う。顔出しが平気な人には、いまいちばんおいしい入口かもしれません。無理な人は無理せず音声だけでいい。わたしは無理してやってみるタイプだけど、疲れる日もあります…

番組枠を買ったあと、何をする?

企画書が要ります

お金を払えば誰でも枠を買えるわけではありません。企画書が必要です。局だって、クレームが来る番組は放送できない。デスクで苦情を受けるのは局のスタッフだから。

通りやすい企画書のコツは、わりとはっきりしています。

  • 地域情報をテーマに入れる。コミュニティFMは地域性が命です
  • 社会性を持たせる。NPOや地域団体との連携、防災、福祉あたりは相性がいい。とくに防災は、いまいちばん通りやすいテーマだと思います
  • 実績のある人を巻き込む。地域で活動している団体の運営者が出演者やスタッフにいると喜ばれます

一人で録って配信するだけだと、たぶん上達しない

音声配信アプリで一人録音を続けていれば上手くなるのでは、と思うかもしれません。でも、たぶん頭打ちになります。

トークって、自分では下手さに気づけないんです。「えー」「あのー」の多さも、間の悪さも、他人に指摘されて初めて見える。コーチや講師、番組ディレクターの存在は、けっこう決定的だと思う。

それに、コンテンツが良ければリスナーはつくけれど、個人配信の音源をそのまま電波に乗せられるかというと、別問題です。著作権をクリアしたジングルの準備、音量バランス、尺の管理。フリー素材でも規約の熟読は必須で、ここを読まずに使うと後で大変なことになります。

ちなみに、AI音声で仮ナレを作って自分のトークと比べてみるのは、けっこう有効な練習方法です。間の取り方の下手さが、露骨にわかって落ち込みます😹

未経験からの現実的なステップ【2026年版】

ここまでを整理します。

  1. 話し方・司会の基礎を学ぶ。パーソナリティ講座でもいいし、実践的な司会の本を一冊でもいい。シチュエーション別のサンプルが載っている本は本当に役に立ちます。単語を入れ替えるだけでも、驚くほど形になる
  2. ポッドキャストを始める。ここが2026年の変更点です。0円で今日から経験値が積める。曲紹介、フリートーク、天気。まずはマイクの前でしゃべることに慣れる
  3. 番組スポンサーになる。局の募集に応募したいなら、ここは有効。3ヶ月・30分番組でOK
  4. 同録(番組音声データ)を必ずもらう。これが次の応募の提出資料になります。もらえないなら自分で録音しておく。忘れる人がけっこういます
  5. 募集をチェックし続ける。新規開局は狙い目。ブランクが空きそうなら、ポッドキャストを止めずに続ける
  6. プロフィールを書き換える。名刺、サイト、SNS。1回でも番組をやったなら堂々と名乗っていい
  7. 司会の仕事も受ける。ラジオだけでは食べていけません。その肩書きを使って横に広げていく。ただし結婚式の司会だけは、専門的なところできちんと学んでからにしてください

それでも、マイクの前に座る意味

AM放送が止まって、AIが原稿を読んで、誰でも今日から配信できる。そう並べると、この仕事はもう終わりに見えるかもしれません。

でも、わたしはそう思っていません。

音声コンテンツはこれまでで一番多く聴かれているんです。減ったのは電波の種類だけで、耳の時間はむしろ増えている。

ただ、求められるものは変わりました。正確に読める人はもう要らない。要るのは、その人の話を聴きたいと思わせる人です。

これって残酷なようで、実はチャンスだと思うんですよね。だって声の良さでも滑舌でもなく、何を面白がれるかで勝負できるということだから。

マイクの前に座るところまでは、思っているより近い。遠いのはその先だけど、まあ、それはどの仕事も同じですよね。