教育格差はITサービスで今すぐ埋められる

大学の入学金には、いまだに目がくらみます。
FPの立場で記事を書かせていただきますね。(2級です)

わたしも私立の大学を卒業しているけれど、バブル全盛期を生きていた親世代にとっては「まあ、そういうものか」の金額だったのかもしれません。でも、いま改めて見ると、これって適正価格なのかな…と思ってしまう。
お子さんのいる家庭は大変だわ・・・

私立大学だと、初年度納入金だけで100万円超え。4年間トータルなら400万〜550万円は当たり前。理系や芸術系ならもっとです。

「学資保険で備える」時代は、静かに終わった

ひと昔前、教育資金といえば学資保険でした。わたしの親も当時、資料を集めて絶望していた記憶があります。満期のタイミングは変だし、利回りもいまいち。保険外交員に文句を言うと「皆さん、そうおっしゃるんですよね」と返される。わかるだけか…と。

2026年のいま、状況はもっとはっきりしています。超低金利が長く続いた結果、学資保険の返戻率は100%をわずかに超える程度がほとんど。18年寝かせて数%しか増えないなら、正直、備えの主役にはなれません。

いまの主流は新NISAでの積立

代わりに主流になったのが、2024年に始まった新NISAでの積立投資です。非課税で、いつでも引き出せて、18歳満期の縛りもない。もちろん投資なので元本割れのリスクはあります。でも「保険」という名前の安心感だけで利回りの低い商品に18年間資金をロックするより、よほど合理的な選択肢が普通に選べる時代になりました。

教育資金の相談先が「保険外交員」から「証券口座」に変わった。これが2016年からの一番大きな変化のひとつだと思います。

2025年から始まった「多子世帯の大学無償化」を知っていますか

そしてもうひとつ、当時のわたしが知ったら椅子から転げ落ちそうな制度が始まっています。

2025年度(令和7年度)から、子どもを3人以上扶養している世帯は、所得制限なしで、大学・短大・高専・専門学校の授業料と入学金が国の定める一定額まで減免されるようになりました。私立大学なら授業料は年間最大70万円、入学金は26万円まで。国公立ならほぼ全額カバーです。

「子ども2人で貯金ゼロ、3人目はゴメンナサイ」の時代への回答

かつては「子どもを2人大学に入れたら貯金ゼロ。3人目は諦めるしかない」という家庭がゴロゴロありました。この制度は、まさにそこへの回答です。

ただし注意点もあります。

  • 自動適用ではなく、日本学生支援機構(JASSO)への申請が必要
  • 「3人以上を同時に扶養している間」が対象。上の子が就職して扶養から外れると、下の子が在学中でも支援は終了
  • 高校の評定など、学業要件がある

2026年度進学者からは、高校3年生の段階で申し込む「予約採用」も使えるようになりました。該当しそうな家庭は、高校の奨学金窓口で必ず確認してください。知らないだけで数百万円の差がつく制度です。

大学に行けない=終わり、ではない

通信制大学という選択肢は、むしろ普通になった

わたし自身、40代で通信制大学の学生をやっています。通信制大学は学士も取れる、歴とした大学です。学生でいられる期間を自分でコントロールできるから、わたしはゆっくり卒業を目指しています。科目を絞れば半期1万円台で学籍を維持できる。

2016年当時は「最終手段」感がありましたが、いまはコロナ禍を経てオンライン授業が完全に市民権を得たので、通信制の存在感はむしろ増しました。海外では社会人学生がスタンダードという話も、日本でようやくリアリティを持ち始めた気がします。学士を取るという目的なら、取り方はいくらでもあるんです。

専門スキルは、月1,000円以下で学べる

「大卒」より「専門技術」が優遇される流れは、この10年でさらに加速しました。IT会社では学歴よりプログラミング、デザイン会社では学歴よりPhotoshopとIllustrator。あとはセンスの問題。

そしてその専門技術が、いまや驚くほど安く学べます。

  • Schoo(スクー):月額980円で9,000本以上の録画授業が見放題。生放送は無料。2016年から10年経っても、ほぼ同じ価格で続いているのが偉い
  • Udemy:買い切り型。セール時なら2万円のコースが1,000〜2,000円台に
  • YouTube:かつて「馬の骨みたいな授業も混ざっていて探しにくい」と書いた記憶がありますが、いまは大学教授や現役エンジニアが本気の講義を無料で公開しています。倍速再生は相変わらずオススメ

専門学校との価格差、100倍・1,000倍の世界。この構図は10年前の予想通り、いや、予想以上に進みました。

2026年の新顔:AIという家庭教師

そして2016年には存在しなかった伏兵が、生成AIです。

わからない数学の問題を写真で撮って質問する。英作文を添削してもらう。プログラミングのエラーを貼り付けて原因を聞く。かつて家庭教師や塾にお金を払ってやってもらっていたことの相当部分が、無料〜月数千円のAIで代替できるようになりました。

「うちはお金がないから塾に行かせられない」の重みが、10年前とはまるで違います。もちろんAIは間違えることもあるので鵜呑みは禁物。でも「質問できる相手がいない」という格差は、確実に小さくなりました。

それでも残る、大学の存在意義

もはや大学の優位性は、人間同士のコミュニケーションと、腰を据えて学問に向き合う時間、それくらいなのかもしれない…と2016年のわたしは書いていました。

10年経って、半分当たって半分外れたと思っています。知識の伝達だけなら、大学の講義は完全にオンラインに負けました。復習できるし、倍速にできるし、退屈な講義は淘汰される。

でも、同世代と密度の濃い4年間を過ごす場としての価値は、むしろ再評価されている気がします。SNSのつながりでは代替できない。これは当時の予想通りでした。ただし、良質な人間関係が築ける場所はキャンパスだけじゃない。スポーツ、ボランティア、NPO、地域活動。探せばいくらでもあります。

まとめ:教育格差は「制度」と「IT」で埋められる時代

2016年のわたしは「教育格差はITで埋めてしまえ」と書きました。2026年のいま、答え合わせをするとこうなります。

  • 多子世帯なら、所得制限なしの授業料減免制度がある(申請を忘れずに)
  • 教育資金の積立は、学資保険から新NISAへ
  • 専門スキルは月1,000円以下のオンライン学習で身につく
  • 質問相手がいない格差は、AIがかなり埋めてくれる
  • 通信制大学なら、学士は自分のペースで取れる

強い意志さえあれば、ほとんどお金をかけずに国立大学にも行けるし、難関資格も取れる。独学の弁護士、司法書士が実際にいる。

お金がないから諦める時代は、10年前に終わりかけていて、いまは制度までが追いついてきた。そう思っています。