チケットノルマ文化をぶち壊すために:アーティストとしての挑戦

ライフ

チケットノルマという壁に立ち向かう

役者やミュージシャンが抱える悩み

役者さんやミュージシャンから人生相談をされることが、私にはけっこうあります。その中でも特に多いのが「チケットノルマ」に関する悩みです。私自身も、かつてこのチケットノルマに苦しめられた一人です。

舞台に立つためには、10人とか20人とか、自分でチケットを売らなければならない。ミュージシャンの場合も、ライブハウスから同じようにノルマが課せられます。もちろん、売れなければ自腹を切ることになるわけで、思わず「どうせ自腹なら、もうご招待しちゃえ」となるのもわかりますよね。でも、これって結局、自分のお金で努力の成果を発表するだけで、「趣味」じゃないか?と思ってしまうことも。

ぐるぐる回る役者たち

ミュージシャンの世界ではそこまで頻繁に起きないかもしれませんが、役者の世界では「お互い行くから来てね」という形で回っているのが現状。つまり、小劇場に集まる客のほとんどは、役者同士なんです。同業者同士でぐるぐると回っているだけでは、何の進歩もない。

それなのに、自分が出演する舞台のDMだけ送りつけて、他人の公演には一切来ない役者が増えてくる。もちろん、そんな役者は嫌われるんですよ。でもね、正直言うと、DMをもらっても行きたくなければ行かなければいいだけの話。気にしなければいいんですよ(笑)。

日本特有のチケットノルマ文化

アジアでの経験と比較

この「チケットノルマ文化」、どうやら日本特有らしいんです。私はかつてギターを抱えてアジアをバックパッカーしていたことがあるんですが、そこで感じた違いがありました。例えば、ベトナムやタイでは、レストランや酒場で「何か歌って盛り上げてよ!」という軽いノリで声をかけられ、その場で歌っていたことがよくあります。ギャラはないけど、代わりにお酒やつまみをいただいて、森山直太朗の「さくら」をよく歌っていたんです。特にベトナムの女の子たちには、この曲が大人気でした(2005年頃の話ですが)。

この時気づいたのは、向こうではお店やイベントの運営側が客を持っているということ。私が客を呼び込む必要なんてまったくなかったんです。だって、私はただのギター持った日本人で、客なんて連れてくるわけがない。

日本に戻って直面する現実

一方で、日本に戻ってみると、チケットノルマ制があり、客がゼロでも満員でも、ライブハウスの売上はほとんど変わらない。こんな商売をしていると、店側が本当に集客努力をしているのか疑問に思います。実際、ライブハウスにとっての「顧客」は、もはやオーディエンスではなくアーティストそのものです。だからこそ、どんなにダメなアーティストでも「お客さん」にダメ出しをすることもできず、結果として誰でも歌い続けられる環境が作られているんです。

チケットノルマ文化をどう壊すか

企画側としての奮闘

私自身、企画側で動くことが多いのですが、その分、どうしても「頑張らなきゃ」と感じることが多い。でも、現実は厳しいもので、前回のイベントでは集客がほとんどできませんでした。こっちも苦労しますが、アーティストも一緒に頑張ってほしいと願っています。

チケットノルマ文化を乗り越えるために

このチケットノルマ文化、いつかぶち壊してやりたい!と思っています。もちろん、現状ではそれに従わなければ公演を打つことはできません。でも、いつの日か、アーティストがもっと自由に、そしてお客さんを自分たちの力で呼び込む時代が来ることを願っているんです。

コメント

  1. 息吹肇 より:

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    僕も常々、小劇場は関係者がお互いの芝居をお互いが見合っていて進歩がない、と思っていました。
    確かに、ライブハウスなんかでも事情は同じみたいですね。
    理想は、ノルマで来たお客さんでも、コンテンツ自体で惹きつけて、次回は関係者が出ていなくても見に来る、という風にしたいのですが、理想通りにはいかないみたいです。
    でも、ノルマだけで回っているというのはどう考えてもおかしな話ですよね。
    何とかしないといけない部分ではありますが、まだまだ課題のままですね。

  2. Kay より:

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    >息吹肇さん
    私自身、今、公演を打てばチケットノルマをいただかざるを得ないですもん、難しいです。
    でも、今は企画側に回ることが多いので、なんとか企画サイドでファンを作って、自分がすばらしいと思うアーティストや芝居を紹介していくような流れが作りたいんですよね!